SMS 中途採用・新卒採用

変えるのは、その街の未来
Episode 1 求職者の未来を変える

「考えるのは求職者の5年後、10年後」 人生をかけた転職を二人三脚で勝ち取り、感じた手ごたえ

キャリアパートナーは求職者に対して、単に就職先を紹介するだけではなく、人生そのものに真正面から向き合い、新しい道につながるよう伴走していきます。一つ一つの出会いの中で、仕事の難しさや奥深さに触れることが、ビジネスパートナーとして、そして人としての成長の機会に繋がります。

Profile

T.T.

介護・保育・障がい福祉キャリア事業本部
介護教育事業部 就業支援第一グループ

2020年に自動車販売職から転職。入社から担当した求職者は1,000名を超える。「嫌われるまでお付き合いします」という覚悟で、粘り強く日々の営業やサポートにあたる。

※所属・役職名等は2024年9月現在のものです

未経験から介護職を希望する、ある求職者との出会い

キャリアパートナー(CP)として5年のキャリアを持つTさんのモットーは、その人の“人生のサポーター”となること。求職者は己の人生をかけて転職を考えているだけに、単なる就職先の紹介ではなく、「ここに就職できて良かった」と思っていただけるようなサポートを心がけています。

これまで数多くの求職者と接してきたTさんは、あるとき未経験から介護の世界に飛び込もうとしている女性を担当することになりました。その女性、Iさんはこれまでいくつかの職を経てきましたが、今回の転職では生涯の基盤をつくれる仕事をしたいと考え、介護業界を選んだといいます。ヒアリングをする中でプライベートに踏み込んでお話を聞いてみたところ、Iさんの事情は考えていた以上に深刻でした。就職を希望するのは、ご主人が仕事中の事故で介護が必要な身体になったため。介護職を選んだのは、長く働ける仕事に就いて家計を支え、かつ夫の介護にも職場で得た知識を役立てるためだというのです。

Iさんの家族は夫のほか、4人の子どもがいる6人家族。それだけの家族を1人で支えるのは決して簡単なことではありません。しかし彼女はとても前向きで、意欲に満ちて、新しい挑戦にひるんでいない様子でした。「大変な状況なのにポジティブな人だ。この人を支えよう」。Iさんの覚悟を感じ、感銘を受けたTさんは、CPとして全力でサポートすることを誓ったのでした。

履歴書から面接対策まで、二人三脚で挑む

Iさんはまず、エス・エム・エスが運営する介護の資格取得や就職支援のための学校、「カイゴジョブアカデミー」に通い始めました。「人の命を預かる仕事だから、知識を身につけ資格を取ってから就職したい」という、本人の意志から選んだ道です。座学と実技の研修を受け、自宅でも反復練習をこなすIさんの様子を知るため、Tさんも定期的に連絡を取りました。「課題が大変」といいつつも、「子どもが実技練習を手伝ってくれて、上手にできたとほめられた」とうれしそうに話すIさんはやはり前向きです。Tさんは「頑張りましょう」と励まし続けました。

努力を続けたIさんは順調に研修を修了。Tさんも紹介先のピックアップに入ります。家庭の事情を考えれば、どこでもいいというわけにはいきません。本人からも「夜勤が少なく、家の事情を理解してくれるところ」との希望がありました。まずは担当エリア内からIさんの家庭事情も理解してくれそうな事業所を20か所選定。さらに担当外のエリアにもリサーチをかけて、少しでも希望に近い就職先を紹介したいと探し続けました。Tさんが連絡をした事業所は、最終的に400以上にものぼっていました。

事業所の絞り込みと同時に、転職活動に慣れていないIさん自身に対してもサポートを開始します。履歴書の書き方や面接の受け答え、服装や立ち居振る舞いのアドバイスを行い、準備を進めていきました。面接については何をアピールするか2人で作戦を練った結果、最終的に導き出した自己PRは、「ポジティブ」と「やる気がある!」という2つ。Iさんと初めて出会った時のポジティブな印象は、これまで伴走してきた中で確信となっていました。それをまっすぐぶつければ結果は出ると考えたのです。

不採用通知のショックを、模擬面接で吹き飛ばす

ついに面接のときがやってきました。厳選した事業所だけに、ぜひとも内定を…と祈る中、届いた1社目の結果はなんと「不採用」。受かって欲しいという願いは叶いませんでした。残念に思いながらIさんへ結果を伝えると、Iさんの声にも動揺がありました。「転職回数の多さを聞かれたから、仕事が続かない人だと思われたのかも。やっぱり未経験の人を雇ってくれるところなんてないのかな…」。しかしIさんなら、多様な職歴はむしろ豊富な経験を持つ証明として訴求できるはずだとTさんには感じられていました。「原因は他のことでは…?」考えられる限りの理由を頭の中で探しつつ、沈んだ様子のIさんに力強く語りかけました。

「『Iさんを採用しなかったなんてもったいないことをした』とあとで思ってもらいましょう!」

落ち込んでいる暇はありません。今すべきことは、プロとして改善できる部分を探し、彼女が100%力を出しきれるようサポートすることです。Tさんは次の面接に向けて模擬面接をしませんかと提案します。不採用だったのは、面接そのものがうまくできなかったのかもしれないと考えたからでした。

実際、模擬面接をしてみると、Iさんはどこかぎこちない様子。ポジティブで明るいところが売りなのに、いつもの“らしさ”がありません。「慣れない面接での緊張や、受かりたいというプレッシャーで、本来の自分が出せていなかったのでは?」そうTさんが仮説を伝えると、Iさんもハッとした顔を見せます。やはりそうに違いない。だとしたら、自信を持って、堂々といつものIさんでいることを大事にすべきだとTさんは励ましました。「今度こそ絶対大丈夫」、Tさんはそう言って次の面接へと送り出したのでした。

二人三脚で勝ち取った内定と、それまでの過程で感じた自分の成長

対策を練って挑んだ2社目の面接の結果が届くと、TさんはすぐさまIさんに電話しました。「Iさん、受かりましたよ!」つい声の大きくなったTさんに、「本当ですか!? ありがとうございます!」と、電話口から聞こえるIさんの声もはずんでいました。互いにねぎらい、感謝しあいながら、結果を出せたことでTさんは胸がいっぱいでした。喜びをかみしめながら、Iさんのために懸命に動いてきた自分自身にも、一回り大きな視野や経験が身についたような実感がありました。

その後も嬉しいことは続きます。3社目以降の面接でも立て続けに内定が出たのです。Tさんの感覚は間違っていませんでした。Iさんのやる気やポジティブさが、それぞれの事業所にしっかり届いたのです。内定が出た数社の中から、「生涯にわたっての基盤をつくる」という最初の意志を貫き、「自分が一番成長できる」と感じた事業所にIさんは入職を決めました。ふたりの出会いから、3ヶ月目のことでした。

こうして無事に転職というゴールを迎えたIさん。しかしTさんは、これは終わりではなく始まりだと言います。実際に働き始めて5年後、10年後に求職者の方がどのような人生を送れるかが、本当に大切なことだと思っているからです。定期的に近況を伺い、その先のキャリアアップの相談に乗るなど、その人が働き続ける限り、関係が切れることはありません。Tさんは今も折に触れてIさんに声をかけます。「困ったことがあればいつでも相談してください」と。「Iさんにはこの先も頑張り続けて欲しい。そのために、自分は生涯のサポーターであろう」そんな決意で、見守り続けています──。

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